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百田尚樹氏ら「安倍応援団」が自民党批判に転じた理由は?

「日本保守党」国政選の初陣へ 衆院東京15区補選

4月16日の告示まで1カ月を切った衆院東京15区補選は、2023年9月に結成された
「日本保守党」の国政選挙初参戦となる。代表を務める作家・百田尚樹氏は
安倍晋三元首相(2022年死去)との親密な関係で知られ、安倍政権の「応援団」
の1人だったが、現在は自民党批判に転じている。その理由とは。(宮尾幹成)


自民党を上回るフォロワー数

日本保守党は3月5日、東京15区補選にイスラム思想研究者でYouTuber(ユーチューバー)
としても活動する新人、飯山陽(あかり)氏の擁立を発表した。

記者会見には代表の百田氏、事務総長を務めるジャーナリスト有本香氏らが同席した。

日本保守党のX(旧Twitter)の公式アカウントを見ると、フォロワーは33万人を超え、
既に自民党約25万人、立憲民主党の約19万人を上回っている。

3月9日には、党員が6万人を突破したと発表。この数は国民民主党の3万6000人あまり
(2023年の代表選で投票権のあった党員・サポーター数)、

日本維新の会の約4万人より多い。

ちなみに、党員になるには「一般党員」で年6000円、党の財政を特に支援する
「特別党員」なら年2万円が必要だ。

◆共同代表は河村たかし名古屋市


百田代表の名前で発表された結党宣言は、こんな書き出しで始まる。

「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します」

「神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系天皇を中心に、一つの国として
続いた例は世界のどこにもありません。これ自体が奇跡といえるでしょう」

余談だが、「日本保守党」の名称は、1955年の自民党自由民主党)結党時の
党名公募で最も多く寄せられた候補でもある。

日本保守党の重点政策は「日本の国体、伝統文化を守る」「減税と国民負担率の軽減」
「議員の家業化をやめる」「移民政策の是正」など8項目。「減税」や
「議員の家業化をやめる」は、党の共同代表に迎えた河村たかし名古屋市長の

カラーだ。

「伝統文化を守る」の具体的な中身には「名古屋城天守閣の木造復元完遂」も挙げる。

 

有本事務総長は河村氏について、名古屋市の市税を引き下げたり、

名古屋市内の国有地の中国総領事館への払い下げを中止させたりしたとして、

その行政手腕を高く評価する。

かつては民主党衆院議員だった河村氏だが、近年は、日中戦争時に日本軍が捕虜らを
殺害した南京事件を「なかったのではないか」と発言するなど、右派的なスタンスを強めている。

 

◆「5年以内に政権を取る」と宣言

結党から間もない10月21日、午後7時から東京・新橋駅前で開かれた党の

街頭演説会には、百田氏や河村氏、有本氏らが参加。

 

土曜日の夜にもかかわらず、SL広場を埋め尽くす聴衆が集まった。日の丸の旗を手に
持つ人は思ったほど多くはなく、スマホで動画を撮りながら静かに耳を傾ける人が

目立った。

 

百田氏は大阪弁の軽妙なトークで「1年で自民党を脅かす存在になる」「5年以内に政権を取り、河村氏と代表選を戦う」などとぶち上げ、聴衆を沸かせた。


百田氏といえば、右派論壇では発信力を持つ論客の1人で、

自民党保守派との関係も深い。

2015年6月には自民党の若手議員らの勉強会に招かれ、

米軍基地問題などで自民党政権に批判的な論調の琉球新報沖縄タイムス

念頭に「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と発言して

物議を醸している。

そんな百田氏がなぜ、自民党に矛先を向けるようになったのか。


◆LGBTQ理解増進法は「違うんじゃないか」

百田氏が新党を立ち上げた最大の理由に挙げるのが、2023年6月に成立、
施行された性的少数者(LGBTQ)への理解増進法だ。

 

法案は、2021年に与野党超党派で合意していた内容を変更。「多数派」に配慮した
「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」との条項が設けられたため、
立憲民主党共産党などは反対した。保守派の意向を踏まえた形になったものの、
国会採決では自民党からも造反者が出た。

 

百田氏は2023年10月17日の結党記者会見で、LGBTQ理解増進法に賛成した自民党
「ちょっと違うんじゃないか」と怒りをぶつけた。

日本保守党の重点政策「伝統文化を守る」には、学校における理解増進教育の
推進を定めた条項を法律から削除することも盛り込まれている。

 

2022年には「参政党」が参院選で1議席

 

2022年の参院選では、憲法9条への自衛隊の明記や選択的夫婦別姓への反対など、
右派的な政策を打ち出した参政党が、国政選挙初挑戦で1議席を獲得している。

 

同様の政策を掲げ、Xのフォロワー数や党員数を着実に伸ばしている

日本保守党が今後、百田氏の高い知名度を武器に、岸田政権に批判的な

保守層の受け皿となる可能性はある。

百田氏や河村氏、有本氏は今のところ、自身が衆院選参院選に立候補する考えは表明していない。

  

衆院東京15区補選は、2023年4月の江東区長選を巡り公選法違反(買収など)の罪で
起訴された前法務副大臣衆院議員の柿沢未途被告=一審で有罪判決=が議員辞職
したことに伴って実施される。

 

これまでに日本維新の会新人の金沢結衣氏、共産党新人の小堤東(こづつみ・あづま)氏、参政党新人の吉川里奈氏が立候補を表明している。

 

国民民主党は元フリーアナウンサーの擁立を発表したが、取り消した。

日程は4月16日告示、28日投開票。東京15区のほか、島根1区、
長崎3区でも同日にそれぞれ補選が行われる。